二子玉川
『忘れえぬ人々』 国木田独歩
「多摩川の二子の渡しをわたって少しばかり行くと溝口
という宿場がある。その中ほどに亀屋という旅人宿が
ある。ちょうど三月の初めのころであった、この日は
大空かき曇り北風強く吹いて、さなきだにさびしいこ
の町が一段と物さびしい陰鬱な寒そうな光景を呈し
ていた。」
(『武蔵野』所収)
『忘れえぬ人々』は、国木田独歩が1898年に『国民
之友』で発表したものです。
独歩は渋谷村(現在の渋谷区)に住み、『武蔵野』を
書いたのも同年です。浪漫主義、自然主義の先駆者
とされる独歩ですが、当時は理解されず、生活は困窮
したものだったそうです。
夕方、多摩川を望む。対岸は溝口です。
二子の渡しが、この辺りにありました。大山詣に
行く人達で江戸時代に賑わった大山街道が、多
摩川を越えるところです。
ここで野川が、多摩川と合流しています。
現在は、国道246号線が通っています。また、
鉄道は東急大井町線と東急田園都市線が通っ
ています。駅が橋の上にあるのも面白い光景です。
この渡しの辺りは、江戸時代から景色が良い
所として有名で、名所とされていたようです。
少し手前の、野毛の辺りの高台からは、見事な
富士山と関東山地、丹沢山地の山々を望む
ことができます。
↑ 二子玉川駅のホームから見た山々と富士山は絶景です。
関東地方では、夕方の「黒富士」を望むことができます。
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