鴨川

     ←四条大橋から北の方向を眺める。10月。
  

    鴨長明 『方丈記』

  「 行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみ浮ぶ
   うたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまる事なし。世の中に
   ある人とすみかと、またかくの如し。
    玉敷の都の中に、棟をならべ甍を争へる、尊き卑しき人の住居は、
   代々を経て尽きせぬものなれど、これをまことかと尋ぬれば、昔あり
   し家は稀なり。或は、去年破れて今年は造り、あるは大家滅びて小
   家となる。住む人もこれにおなじ。所もかはらず、人も多かれど、い
   にしへ見し人は、ニ三十人が中に、僅かに一人二人なり。朝に死し、
   夕に生るるならひ、ただ水の泡にぞ似たりける。知らず、生れ死ぬる
   人、何方より来たりて、何方へか去る。また知らず、仮の宿り、誰が
   ために心をなやまし、何よりてか悦ばしむる。その主人と住家と、無常
   を争い去るさま、いはば朝顔の露に異ならず。或は露落ちて花残れり。
   残るといへども朝日に枯れぬ。或は花は萎みて露なほ消えず。消えず
   といへども、ゆふべを待つことなし。 」

  
                               (写真提供 N.K.先生)

    この鴨川の流れを見て、京都の風情を感じる人がたくさんいると思います。
   いろんな歴史と伝統行事が、この川と結びついています。また、京都で暮ら
   す多くの人にとって、さまざまな思い出と結びついている川と言えるかもしれ
   ません。

        
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